相続トラブルを防ぐには

多くの相続トラブルには、ある程度共通の傾向や原因が観察されます。

傾向・原因を理解していれば対策も難しくありませんので、ぜひしっかりと確認してください。

まず相続トラブルの多くに共通しているのは、相続内容が「不動産」であることが多い、という点です。

不動産は金銭と違って厳密に分けることができません。
めぼしい財産が不動産だけであれば、「公平な分割」をするには不動産をいったん売却して現金化するのが一番確実ですが、そもそも相続した土地の売却に抵抗を感じる人は少なくないため、分割方法をめぐり争いになることが多いのです。

また特定の相続人に生前贈与が行われているケースでも、その他の相続人が「不公平」を感じてトラブルになることがあります。

一方、相続トラブルの原因やきっかけになるのはほとんどの場合、相続人同士の不信感や不和です。
たとえば被相続人と同居していた特定の親族が使い込みをしていたのではないか、財産を隠しているのではないか、といった猜疑心が遺産分割協議の場で火を噴くこともあります。もちろん、普段から疎遠だったり仲が悪かったりすればなおさらです。

相続トラブルを避けるには、まずは上記のような状況を作らないことです。

被相続人の立場であれば、自分の財産をあらかじめ明らかにしておくことで、相続人同士が互いの使い込みや財産隠しを疑う余地はなくなります。

また特定の相続人に不用意な（周囲が不公平と感じるような｝生前贈与をしないよう注意する必要もあるでしょう。

また不動産を含む財産の相続方法について、自分の考えを遺言にしてしっかり遺しておくことも大切です（もちろん、内容の公平さにも十分注意します）。

相続人の立場であれば不用意な生前贈与を受けるのを避けたり、特に被相続人と同居している人であれば、他の相続人に不信感を抱かせるような行動を慎むよう注意が必要です。そして根本的なことですが、できるだけ相続人同士の不仲を解消し、互いに信頼できる関係を作っておくことが重要と言えるでしょう。

原因と対策がわかっていても、トラブルを完璧に防ぐことはなかなかできません。特に、遺言書の不備や配慮を書いた贈与などは、被相続人や相続人本人では気付かないことも多いものです。

このような場合は、ぜひ経験豊富な専門家に相談してください。法的に適切で有効な遺言書の作成方法をはじめ、トラブルになりにくい遺産配分や贈与のノウハウ、全員が合意しやすい遺産分割協議のノウハウなど、トラブルを未然に回避するためのアドバイスを受けられるはずです。もちろん、利害関係のない第三者としての冷静な意見も参考になるでしょう。

すでにトラブルが発生してしまった場合はもちろん将来のトラブルが予想される場合にも、まずは気軽に、専門家に相談してください。